
この記事の結論
AIの普及で、文章の下書きや情報整理など、オンライン秘書の一部の作業は変わります。ただし「オンライン秘書という仕事がなくなる」と断定できる根拠はありません。依頼の目的を理解し、情報の扱いを確認し、相手が判断しやすい形に整える役割は引き続き重要です。これからは、AIを使えることに加え、成果物の正確さと進め方に責任を持つ力が求められます。
国際労働機関(ILO)の2025年の分析も、生成AIの影響を受ける仕事の多くは、仕事そのものが直ちに消えるより、仕事の中身が変わる可能性が高いとしています。ただし、この分析は世界全体の職種・作業に関するもので、日本のオンライン秘書の雇用や報酬の将来を保証するものではありません。出典:ILO「Generative AI and jobs: A 2025 update」
AI時代のオンライン秘書とは?
オンライン秘書は、チャット・メール・オンライン会議などを通じ、日程調整、連絡、資料作成、会議準備などを支援します。フリーランス秘書の仕事内容と働き方で説明したように、担当範囲は依頼者との取り決めで変わります。AIはこの仕事の一部を補助する道具です。業務の依頼を受け、確認し、必要な相手と調整する仕事まで自動的に引き受けるわけではありません。
オンライン秘書と在宅秘書の呼び名や契約形態の違いは、オンライン秘書と在宅秘書の違いで整理しています。
AIが補助しやすい作業と、人が担う判断

文章の下書き・情報整理
たとえば、公開情報だけを使った会議案内のたたき台や、本人が書いたメモの見出し整理は、AIで時間を短縮できる場合があります。一方、日時、氏名、金額、固有名詞、引用元、送信先は人が原資料と照合します。読みやすい文章でも、内容が正しいとは限りません。
目的と優先順位の確認
「来週の会議を調整して」という依頼でも、先に確認するべき人、候補日時の条件、急ぎ度、予定を動かせない参加者は案件ごとに違います。指示をそのまま処理する前に、目的、期限、判断権限を確認することが秘書の価値になります。
相手への配慮と最終確認
お断りや日程変更の連絡では、言葉の丁寧さだけでなく、相手との関係、過去の経緯、伝える順番が大切です。AIが作った文面を送る場合も、その場に合うかを確認し、必要に応じて依頼者の承認を受けます。
これから身につけたい4つの力
- 依頼を整理する力:目的、期限、完成形、判断者を質問で明確にする。
- AIの出力を検証する力:事実、固有名詞、リンク、計算、出典を元資料で確かめる。
- 情報を守る力:利用許可、共有範囲、入力する情報、保存先を事前に確認する。
- 仕事を改善する力:繰り返す作業の手順と確認箇所を記録し、依頼者と見直す。
実務での始め方:小さく試して確認する
最初は、公開情報や架空データを使い、メールの下書きやチェックリスト作成などで試しましょう。作成前に、依頼者がAIの使用を認めているか、どのサービスを使うか、入力してよい情報は何かを確認します。出力後は元資料と照らして直し、送信や共有の前に必要な承認を得ます。作業時間だけでなく、確認にかかった時間や修正点も記録すると、AIを使う価値を判断しやすくなります。
注意点:顧客情報を安易に入力しない
個人情報、未公開の予定、社内資料、顧客とのやり取りを、許可なく外部の生成AIサービスに入力しないでください。サービスごとに入力情報の扱いが異なります。個人情報保護委員会は、事業者が個人情報を入力する際には利用目的の範囲や、サービス側での取扱いを確認するよう注意喚起しています。また、生成された答えに不正確な内容が含まれ得ることも示しています。出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起」。具体的な取扱いは依頼者のルールと利用サービスの条件を確認してください。
よくある質問
AIが得意なら、秘書経験がなくても仕事を始められますか?
AIの操作は一つの技能ですが、それだけで秘書業務を任せられるとは限りません。連絡の正確さ、段取り、情報管理、依頼者への確認も必要です。架空データで作った業務サンプルを用意し、対応できる範囲が明確な仕事から始めましょう。
AIを使ったことを依頼者に伝えるべきですか?
まず契約内容や依頼者の運用ルールを確認してください。AIの利用可否や、どの業務で使うか、入力できる情報、成果物の確認方法を開始前にすり合わせると安心です。
AIが作った文章をそのまま送ってもよいですか?
そのまま送る前に、事実、宛先、相手との関係、機密情報の混入を確認しましょう。重要な連絡は、依頼者が確認する手順も決めておくと行き違いを防げます。
今後、オンライン秘書の需要は必ず増えますか?
需要の増減は業界や依頼者によって異なり、将来を保証できません。作業の速さだけで競うのではなく、依頼の背景を理解し、正確で安心して任せられる支援を具体的に示すことが大切です。
日本フリーランス秘書協会®︎について
日本フリーランス秘書協会®︎(JFSA)は、秘書・バックオフィス人材の専門性を高め、企業から信頼されるプロフェッショナルの育成を目指す職能団体です。学びや交流を通じ、フリーランス秘書・オンライン秘書が成長するためのつながりを提供しています。協会について